2017年2月11日土曜日

SEKAI STORY掲載:今月の記事は"Jimmy Heath at 90"

私がSEKAI STORYに執筆したシリーズ最後の記事が掲載されました。タイトルは「Jimmy Heath at 90:ジャズの巨匠90歳は今も現役」です。

記事は長めなので、興味のある方はこちらのサイトでご覧ください。
http://sekaistory.jp/3649/

Jimmyの音楽に興味のある方は、アマゾンなどでCDを購入可能ですので聞いて見てくださいね。


The Quota/Triple Threat



New Picture


今や長寿を誇る日本ですが、アメリカのジャズミュージシャンにも元気な超高齢者が結構います。彼らはジャズ全盛期を体現して来た世代です。
ジミーを含め、今現在90歳前後のジャズの巨匠達は子供の頃にルイ・アームストロング(Tp)やアート・テイタム(P)、デューク・エリントン楽団、トミー・ドーシー楽団等、スイングジャズの巨匠達の演奏を生で体験し、ジャズに憧れた世代です。そしてスイング、ビバップ、ハードバップ、ラテンジャズ、フュージョン等のスタイルの変遷を人生を通して経験して来た最後の世代といってもいいでしょう。

彼らの後の世代のジャズミュージシャン達、年齢で言えば今70歳代未満は音楽産業のメインストリームをロックやポップスに奪われてしまった世代と言ってもいいでしょう。一般的にアメリカでも50代から70代の世代でジャズを好んで聴く人達はロックに比べて圧倒的に少ないです。あのドナルド・トランプ大統領に至ってはジャズは大嫌い。彼自身が主催するパーティーに出演したある大御所ジャズヴォーカリストに、面と向かってジャズ以外ならなんでもいいと言い放ち、その場を去ったという逸話があります。アメリカでのジャズ教育の未来が思いやられる話です。

一世を風靡したあのDizzy Gillespie(Tp)は生前、ジャズはワールドミュージックと呼ばれるだろうと予見していたそうです。
それを裏付ける様に巨匠達の築き上げたジャズというジャンルは世界中の民族音楽の影響を受け、今もなお進化しています。モダンジャズをストレートアヘッド、又は伝統的なジャズとするならば、今最も最先端と言われるジャズは、もうすでに4ビートではなく7ビートや9ビート等リズムが複雑になっています。モードのアレンジメントではなくスタンダードをbebopの様にコードチェンジに従ってアドリブソロ演奏をしないスタイルのミュージシャンもいます。又、ジャズを学ぶ学生の中には巨匠のスタイルやアドリブをあえて習得しないという強者までいます。(古きを訪ね新しきを知るという言葉を知らないのでしょうか?)確かに今はテクニックも50年代のジャズミュージシャンよりは優れている人が多いですが、ジャズのフィーリングやビート、バンド全体のサウンドやうねりなどには魔法の様な魅力がありません。なぜでしょうか?今はYouTubeで素晴らしい昔の名演奏を観ることができるので、よろしければご覧くださいね。

以下のリンクはThad Jones & Mel Lewis Jazz Orchestra (現The Vanguard Jazz Orchestra)の68年の演奏と80年始めの演奏を比較できます。どちらも素晴らしい演奏です。ジャズのスタイルやサウンドの違いがわかりやすいので、あえてビッグバンドを選んでみました。

The Groove Merchant (1968)
https://youtu.be/4ZLvqXFddu0

Dolphin Dance
https://youtu.be/zwR6jeSnE8I

ジャズは理論であり”ジャジーな音楽”とは全く異なるものですが、今後はジャズという理論の定義が幅広く進化していくか、ジャンル自体が細分化されていくのではないでしょうか。ひょっとするとスイングジャズからモダンジャズのスタイルまでは日本の伝統芸能やクラシック音楽の様な位置付けになっていくかもしれませんね。ただ言えるのは、日本の様な伝統を継承する「家」の存在が無いので変わっていくのは仕方のないことなのかもしれません。

今回は真面目に語ってしまいました。最後までお付き合いくださりありがとうございました。