2024年5月9日木曜日

ハンドメイド*洋服生地で春夏の着物用薄羽織を作る

 

初めて作ってみた薄羽織
大正ロマン風にも見えます

桜の時期が終わったら、袷羽織はおしまいと言われています。特に女性は帯付きで外出して良いわけですが、今年のNYは桜が咲いているのにオーバーコートが手放せないという寒さ。5月に入っても夜はぐっと冷えてオーバーを着て出かける日が続いていました。ゴールデンウィークに入ってからやっと半袖を着る日がチラホラ。この分では穏やかな春の陽気は短くて、急に猛暑の夏日になってしまうのではないかしら?とジェブさんと話していた所です。

帯付きで外出する季節になっても、NYにいるとやっぱりチリ除け的なものは欲しい。だけど、埃や排ガスが多いNYの街中を歩くので、お家で洗えるものが欲しくなります。日本でも近頃は単の薄羽おりが推奨されているようです。風通しの良いポリエステルのお洒落なレースや透ける素材のシフォン、麻素材で法被や羽織で長めの丈の物があったら、室内でも着用出来るし便利かもしれないという事で、意を決して自分で作る事にしました。



袖をぶっつけでレイアウト


NYのファッションディストリクトへ出かけて、日本で販売されているレース羽織に使われている様なお洒落なレースは無いか見て回りましたが、問屋街で扱われているレースという布はほとんどがフランス製やイタリア製なので本当に高い。結局一目惚れしたプリントの絹麻の生地をMood Fabricsで購入。絹麻なので$25 / 1 yard(約90cm)とお高めになってしまいましたが、自分で縫えば仕立て代はタダ!という事で4ヤード購入。幅が140cm位だったので、長羽織にしなければ3ヤードでも足りたかもしれません。

袖を追っかけでレイアウト


まず、布は洗濯機の手洗いモードで水通しをして2cmくらいは縮みましたが、色落ちなどはありませんでした。裁断は袖の分は反物幅と同じ38cm、左右の身幅は背中心で15mmで縫い合わせる事にしたので76cm + 3cmの幅で長手にカット、残りの20cm位の細長いピースは棒えりに使いました。背縫は別になくてもいいので、生地の素材や柄によっては無い方が良いです。和裁でも要塞でも一番面倒なのが裁断。柄あわせ、裁ち合わせ、生地の目、一番頭を使います。この生地は大胆で派手な縦縞でもあり格子柄でもあるので、落ち着いた印象にしたいのか、お祭り騒ぎみたいな印象にしたいのか、柄合わせで印象がかなり変わってきます。





今回は「追っかけ」にして落ち着いた印象にと心に決めたのですが、何を血迷ったか、袖を作り急いだせいで気づいたら右の袖を2枚作っていました。結果、襦袢の袖付けのような「夕日断ち」になってしまいました。(笑)でも、こうすると袖は左右対称になるので、そんなに変では無いですね。自分が着るんですから、自分さえ良ければいいんです。







今回の仕立て方は身頃は法被のような感じで、身八つ口を開けて袖は着物の作り方、羽織紐をつけられる様に乳を付けています。着物の上から羽織るとやっぱり裄丈や袖丈の短い着物の場合は袖が羽織の振りから出てしまうので、男仕立ての羽織にするか、たもとを深めにした船底袖の法被仕立てにする方が安定して作り易いし、着物も汚れにくいかもしれないと思いました。

この長羽織は夏のキャミワンピやタンクトップの上に羽織ってもカッコ良さそうですね。







色が濃い柄なので、ぱっと見た感じは透け感はあまり確認できませんが、実はかなりシアーなんです。絹麻なので張り感があって、ふんわりとした印象の布です。武士の裃の生地ってこんな感じなのかな?シワも出易いとは思いますが、戻る感じがあるので先ずは今シーズン着てどうなるか検証してみます。


透け感はこんな感じ