2016年4月30日土曜日

アイリス・アプフェル "Iris Apfel" に夢中!



さて、日本でも今年の三月から公開になりましたね。2015年にアメリカで公開されたドキュメンタリー映画"Iris"日本では『アイリス・アプフェル!94歳のニューヨーカー』という邦題で公開されました。見逃した方はAmazonプライムかDVDでチェックして見てください。↓



アイリス・アプフェル! 94歳のニューヨーカー [DVD]



NYの街を歩いていると、彼女のようなとてもお洒落な高齢の女性を見かけます。白髪に真っ赤なウールのオーバーコートと帽子を合わせていたり、流行のものではないけれど、昔の仕立ての良いスーツにバランス良く大振りのアクセサリーやスカーフを合わせ、真っ赤なルージュを引いている。しかも彼女たちにとても似合っていて、見ている私も気持ちがいい。決してハイブランドものや、毛皮のコートをこれ見よがしに着ているわけでは無いんです。

NYの街と東京の違いは、街行く女性のファッションを眺めていて、何がトレンドなのか一瞬良くかわからないのがNYで、手に取るように分かるのが東京と言ってもいいくらいです。日本同様、ファッション雑誌が溢れているNYで、勿論流行の色やデザインはハイブランドからファストファッションまで大量に街中に溢れているけれど、皆んながそれにすぐ飛びついているかというと、そうでもない。皆んな自分の個性を表現する為に似合うものを選んでいる、「私は貴方と同じではない。」という感じがします。





勿論髪の毛の色、肌の色、目の色が親子でも異なる欧米ですから、似合う色も異なります。「あなたに合う緑は黄色みの緑、でも私には青っぽい緑が似合う。」そして、年齢が変われば若い頃よりも肌色がくすんでまた似合う緑色が違ってくる訳ですから、バラエティが豊富というのも理由かもしれません。

さて、そんな個性がぶつかり合うNYファッション業界で、アイコンとして尊敬されている女性がアイリス・アプフェルなんです。

彼女はインテリアデザインというカテゴリーが出来る前に内装業をビジネスにしてきたリーディングパーソン。彼女がインテリアデザイナーとなったきっかけは伝統的な織物、壁のクロスや家具、カーテン等のインテリアファブリックの復刻の仕事でした。古い伝統や高い技術力、そしてその価値を知り、リプロダクションをすることで現代の空間に蘇らせる仕事をしてきた彼女。映画の中でも深く考えずにヴィンテージのクチュールの洋服のボタンを取り、壊して新しい試み(デザイン)をしようとする若いデザイナーに対して、警鐘を鳴らしています。勿論、彼女自身も伝統服のリモデルをして楽しんでいるのですが、復刻可能なマテリアルと、現代では復刻できない絶えてしまった技術のマテリアルでは、その衣装の存在価値が違うと言うことですね。

さて、映画の中でもっとも圧倒されるのは彼女のユニークでパワフルなスタイリングと、面白いデザインや形を選ぶ目です。柄に柄をぶつける。色に色を重ねる、形に形を盛り込み3次元の造形を追求する。"Too much. "や"Less is more."という概念はありません。若い頃から自分自身で生涯をかけてスタイリングを実践している、だからこそパワフルで説得力があるのでしょう。この映画は勿論、ちょうど私がアメリカに来た2005年にメトロポリタン美術館で行われた彼女のコスチューム展がありましたが、その2年後に出版された写真集"Rare Bird of Fashion / The Irreverent Iris Apfel"を見て感じるのは、年齢を重ねるほど重量感のある質感の布地やアクセサリーが似合ってくるということです。それは年齢を重ねると、やっとそういうものを楽しめるようになる、という事なんですね。

若い頃は透き通るような瑞々しく、ハリのある素肌に繊細なジュエリーやキラキラ光るツヤのあるアクセサリー、シフォンやチュールのような繊細な生地、逆に洗いざらしの色落ちした様なコットンやリネンのシャツですら映えます。でも、年齢と共にシワが深くなり、肌にツヤも無くなってくると逆にマットな質感や程よい照りのあるアクセサリー、こっくりとした色味や重厚な質感というものが似合うようになる。シワが増える事を恐れている場合じゃないんです。もっともっと、若い頃とは違うお洒落が出来る。自分を素敵に見せるために大胆にアクセサリーの力を借りてチャレンジしていいと言う事です。エイジングをネガティブにとらえず、絶えずアメリカ全土の熟年の女性達にパワーを与える彼女、だからこそ彼女がプロデュースするコスチュームジュエリーのテレビショッピングは、いつも完売なのでしょうね。

ぜひ日本の全ての年齢の女性達、ファッションに興味がなくても、何かにこだわりを持ち、貫き通す一人の女性の生き方の参考書として見ていただきたい映画です。

彼女の様な盛って盛って、盛りまくるスタイリングは真似できないけれど、アクセサリーの選び方やスタイリングはちょっと取り入れられそうですね。私もwajaのお店で元気になれそうなコスチュームジュエリーを、どんどん日本の皆さんに紹介していこうと思っています。

Eric Bomanによる彼女の本は日本では楽天からお取り寄せ可能です。最後にリンクを貼っておきますので、ファッションを勉強されている方や興味のある方は是非見てくださいね!


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