2011年3月6日日曜日

ジュリアード音楽院の仕事

昨日で主人の緊張の三日間の仕事が終了してほーっと一息の週末です。
ジュリアード音楽院は世界中のクラシック界でも有名なコンサーバトリー/音楽大学です。
大学院にはジャズコースがあります。残念ながらボーカルはありません。

主人はその大学院ジャズコースの入試(オーディション)の学生のバックで演奏するトリオのピアニストに選ばれて、演奏試験にチャレンジする学生さん達のサポートをしました。
毎朝、5時半とか6時半とかに起床して、夜10時ころまで休憩以外はスタジオに缶詰です。
毎晩1時ころまで演奏するジャズミュージシャンにとって、毎朝早朝起床する事の緊張感もさることながら、演奏内容がかなりハードです。普通にジャズの演奏をする訳ではありません。

まず、試験に譜面はありません。受験者はあらかじめ告知されたセレクションの曲を全てそらで演奏し、また、全てのキーで演奏出来る事が第一前提です。

例えば、フロント楽器(サックス、トランペット、ギター等)奏者の試験ではリズムチェンジと呼ばれるコードチェンジの曲のソロ演奏中にランダムにキー(調)をベーシストと一緒に変えていきます。始めはCで始まった曲も突然途中からGフラットに飛んだりするんですね。
それでも、曲は進行中なので、受験者はそれに合わせて瞬時に移調してソロ演奏を続けなくてはならない分けです。これは受験者がどれだけ良い耳を持っているか、高い演奏技術を持っているかさらけ出す事になります。調が変われば指使いも変わりますし、頭を切り替えないと行けない訳です。これは伴奏している主人もベーシストが瞬時に違うコードを弾き出すのに合わせて瞬間的に調を聞き分けピアノを弾き続けなければならないので、非常に疲れる作業です。
それを一日中やる訳ですね。

ベーシストの試験の場合は主人がキーをどんどん移調していきます。
また、ドラマーの試験の場合はソロ演奏時にドラマーとピアニストはソロを4小節、2小節、1小節交換で交代で演奏するのですが、それを3小節とか、5小節で交代するんですね。
ジャズスタンダードの曲と言うものは通常一曲32小節です。3と5だと割り切れないし、メロディーフレーズが通常4小節をベースに作られているので、非常にソロ演奏で歌えない、又は小節数を数えられない、今自分が曲のどこを演奏しているのか判らないと言う状況に陥ります。

これはかなりハードです。音楽性のテストではないですね。あくまでも技術、職人技、と言うところでしょうかねー。それを居並ぶジャズの巨匠達、世界的スターと言える教授陣の前で演奏するんですから、おしっこチビリそうになるでしょうねー。しかも教授陣はしかめっ面で、全然受験者に対してナイスじゃないんだそうです。私はジャズボーカルなので、移調するのにはついていけそうですが、こんなシチュエーションで試験なんて嫌ですねー。ジャズが嫌いになりそうです。

でも、やれやれ旦那様は今までのオーディションのサポートピアニストとしては最高の出来だったと褒められたそうです。今日はご褒美に二人で大好きなイタリアンレストランで祝杯です。